美和村という美しい名前の村が茨城の端にある。
栃木との県境、黒磯からは40分くらいのところに、
知り合いの持ち家があり、この間そこで鮎パーティーがあるとのことで
お邪魔させてもらった。
鮎はもちろん美味しかったし、皆との時間も良かった。
でもその家に私は感動した。
その知り合いのお父様が自分で設計して建てた家。
裏を小川が流れ、玄関入ってすぐ囲炉裏がある。
縁側に、書斎、居間、台所、風呂、ベッド、和室。
ミニマム、コンパクト。
それ以上、それ以下もないまさに理想の家だった。
窓から見える緑が印象的なのだが、
その緑も、全て自分で植えたのだと言う。
今が、そのお父様の未来予想図の姿なのだろう。
今はもう亡くなられていて、誰も住んでいない美和村の家。
彼がこの家を建てたということが、
素晴らしい出来事だと思わずにいられない。
絶妙なベッドの位置、椅子の置いてある向き、ひとつひとつを見付けるだびに
生活を愛しんで、時間を大事に思った方なのだろうと、
会ったこともないその人のことを、随分と思った。